株式会社GCAP

Gordius Consulting & Partners Inc.

Industries

不動産

M社の事例

M社は平成15年に設立された不動産会社です。数社の不動産会社で営業経験を積んだ社長が独立して設立。創業後は大手不動産チェーンのフランチャイズに加盟し、総合的に不動産売買・賃貸の代理媒介業を行ってきたが、徐々に借入金の返済が苦しくなってきたとのことで、ご相談をいただきました。

M社は東京都内の某主要駅から徒歩3分の路面店という好立地で営業をしていましたが、競合も多く、半径100メートル圏内に十数社の同業他社が存在している状態です。競争の激化からか、看板を破壊されるなどの嫌がらせも日常茶飯事で発生しているとのことでした。

社長は不動産営業の経験はあったものの、経営や会計についての知識はほとんどなく、「勢いに任せて突っ走ってきた」とおっしゃいます。会社はある程度の売上は確保しているものの、利益が手元に残ることはなく、金融機関からの借入金の返済が経営を圧迫している状態でした。

当然ながら、会社に事業計画のようなものはなく、会計は税理士任せの状態。各セグメントごとの数値も出ていない状態でした。そこで、まずは会社にある様々な情報を集約し、過去5年分のセグメントごとの売上・費用を分析をすることから開始しました。

賃貸の媒介業は、以前は利益が出ていたものの、現在は顧客の獲得競争が激化しており、インターネット広告の費用が青天井となっている上に、家賃、人件費、フランチャイズ本部に支払うロイヤリティーを考慮すると成約すればするほど、赤字になるという状態だということが判明。

売買については、賃貸と同様にインターネット広告を見て来店する一見の顧客もいるにはいるが、それ以上に社長個人についている顧客が多く、収益物件の売買の代理媒介業では利益が出ていることも判明しました。

当社からの提案としては、賃貸の媒介業からの緩やかに撤退し、収益物件の売買の代理媒介へ特化していく。経費を圧迫している現在の営業所からは移転し、フランチャイズは脱退するというもの。社長に人脈・営業力があるため、負担となっているフランチャイズのブランドネームに頼った路面店での営業は不要であると判断しました。

作成された事業計画をみた社長は、当初は「売上が下がるはまずい」と怪訝な表情をしていましたが、最終的には、現状だと半年程度で資金繰りがショートする可能性があることや、売上が下がっても利益を出していくことが重要だということをご理解いただき、支援を実行させてもらっています。

営業所は同じビルの5階に移転。家賃は約半分に。ホームページはフランチャイズのブランドを打ち出したものから、「収益物件に特化した不動産業者」を打ち出したオリジナルのものへと変えています。

社長は言います「いい立地に店舗を出して、バンバン広告を打って、売上さえ上がればいいと思っていた。でも、そうじゃなかったんだな」と。真っ黒に日焼けして、営業に出かけた社長の表情には、少し余裕が出たように感じました。